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近藤 優実

なりたい自分のサポート助産師

資格

助産師 / 看護師 / 受胎調節実地指導員 / 新生児蘇生法「専門」コース(Aコース)

出身地

神奈川県横浜市

経歴・職歴

東京医療保健大学医療保健学部看護学科卒
同大学助産学専攻科卒兵庫県立淡路医療センター勤務
その他病院勤務

好きなもの

旅行、海、観劇、手芸

みんなにとって大事な人たちがいなくなった日に私が生まれて、申し訳ないことだと思いました。

助産師になったきっかけはなんですか?

自分が生まれたのが阪神淡路大震災の日で、小さい頃からたくさんの人が亡くなった日だと教わってきました。
朝の新聞やニュース、幼稚園での朝の会とかで、今日はそういう辛いことがあった日なんだよと。
「私、みんなに今日私の誕生日だと言いにわくわくして幼稚園に来たのに・・」と思いながらも、皆にとって大事な人たちがいなくなった日に私が生まれたのが申し訳ないことだとすごい感じていました。
しかし、高校生になってからは、戦争の時も東日本大震災の時も、どんなときでも赤ちゃんは生まれてくるんだということに気づき、命の誕生はすごい貴重なことであって、それが希望の光になりました。
そこから新しい思いが生まれてきたり、家族の新しい繋がりができたりして、私って生まれてきてよかったんだなと自分を認めることができました。
だから、人が生まれてきてよかったと思えるように援助する仕事がしたいと思ったのが助産師になったきっかけです。
赤ちゃんが生まれることで、家族の新しい形の繋がりもスタートしていくんだと思います。
助産師という仕事は、お母さんに対する愛や家族への愛を、一番最初からサポートできる仕事であることに魅力を感じました。

バースハーモニーに出会ったきっかけは?

助産師になろうって思った時に、どういう働き方がしたいかなと考えていたころでした。
病院、助産院、保健所、訪問など助産師として働くには様々な方法や手段がある中で、私が思った「お母さんをサポートする」ためには、ゆっくりできる場所がいいなって思いました。病院だと、やっぱり決まった指示のもとで動いてる感じがあると思って、助産院だったら助産師が主体的になってケアができるから、将来は助産院の助産師になろうっていう目標がずっとありました。
バースハーモニーで働く前は、1年ぐらい病院で働いていて、確かに最初は病院で経験を積んでから助産院で働こうと思ってたから少し病院で働き続けようとも思いました。
しかし、限られた人生でどこを深めていきたいかって思ったときに、やっぱりやりたいことをやった方がいいと思いました。それで、助産院で助産師として働きたいと思って、色んな助産院を見学していたある日、偶然奇跡的な出会いがありました。
2022年の秋頃、ご縁があるお店で主催された、呼吸に吐くことに集中しようみたいなセミナーがあって、それに誘われて参加した日に、たまたま中休みのお時間に、偶然後ろで誰かが話してる声が聞こえてきて、話の内容を聞いたら助産師さんであることが分かりました。
「へぇ、同じ場所に助産師さんがいるんだ。」と思って、話しかけにいきました。話を聞くと、その方が働いている場所はバースハーモニーという助産院で、一人一人に向き合う場所だから良い機会になりそうじゃないかというアドバイスももらいました。その方が楠本さんです(笑)

個人的な意見ですが、自分が今後妊娠と出産のための体づくりをするとなった時に、そのやり方や伝え方が厳しすぎたりするとしんどいなと思っていたので、マイルドな方法で自分が自分らしくなっていく助産院がいいなと思っていました。
バースハーモニーでは、マイルドな方法で自分らしくなっていけそうだなと感じられたから、やっぱりここがいいなって思いました。助産院での妊婦健診はどこも大体1時間ぐらいやりますけど、その中でもバースハーモニーは特に自分と向き合える場所なんだなと思いました。

もう一つのきっかけは(純子先生に言わされているわけではないけど)、この場所だと思います。バースハーモニーはベッドも広くて快適だし、ゆったりしたところで、本当に家みたいな環境でリラックスできるし、なんか勝手にできるみたいな。それがいい気がします。

あと、ほどよい医療器具が揃っている点もいいですね。メンタルケア的な部分も、ものすごく大切ではありますが、それだけだったらちょっと心配になるかもしれません。お腹のモニターとか、妊婦健診のときに赤ちゃんの顔が見れたり脈拍も聞けたり。医療的な部分もちゃんと見れ、自分に寄り添うことともできる、とその両方があるから、落ち着いていられます。
赤ちゃんとの対話や赤ちゃんと繋がってるっていう感覚もすごい大事だけど、今生きてる私達だからこそ、視覚的に見れるっていうのもいいことなのかなって。目で見えた方が安心していられますよね、やっぱり。

ご家族の輪になっていくことをサポートするための影武者になりたいです。

助産師として働く中で心がけていることはありますか?

助産師になろうとしていた学生時代には、分娩に関わらせてもらって、「自分が何ができるか」をすごい意識した部分がありました。だけど、実際に助産師として働いて気付けたことは、自分が何ができるかっていうのはあんまり必要じゃなくて、「どれだけ目の前にいる人が自分らしくいられるか」を見守れる心の大きさが大切かと思います。
例えば、私は「モニターをつける」ことが上手になりたいと思っていました。心音がしっかり拾えてるかとか、巻く紐のきつさをうまく調整できる技術とか、腰を上げる声掛けのタイミングとか。なんか一つ一つの手技に、できるようになりたいって思った部分がありました。
もちろんそういうのは自分の中では磨いていく必要があるかもしれないですが、やっぱり一番大事にしたいことは「ママへのサポート」です。
どれだけ影武者になれるかじゃないですけど、「あ、いたの?」ぐらいの勢いでいれるのが一番だと思います。
だって一番の主役は、お母さんと赤ちゃん、そしてそのご家族だから。それをサポートできるようになるには、やっぱり影武者になりたいです。

バースハーモニーで働き始めてからは、働き方や感じ方は変わりましたか?

初めて来られる方に、病院と助産院の違いを簡単に説明する際に私がよく説明するのは、病院は陣痛が始まったら陣痛室で待っていざお産ってなると色んな人たちに助けてもらいながらやるけど、助産院は、陣痛が始まったらずっと助産師が必要な時にそばにいてくれる環境であって、寂しい思いをしなくて済むからいいよ。という風に伝えています。それができる理由は、スタッフ同士の関わりにあると思います。

病院の規模にもよるとは思いますが、病院は、すぐそばに医者や何人もの助産師が働いてる中でディスカッションしながらその1人を見るので、医療職の人数が多い点は、すごい安心できる場所であると思います。

一方で、バースハーモニーは少人数のスタッフ同士で、それぞれの個性や持ってるものを理解し合いながら、妊婦さんの情報をシェアしあい、見守っています。だからこそ、お産に来た人にどういうケアをしていこうかっていう時に、特にその妊婦さんに深く寄り添うことができる場所であるかなと思います。

自然誕生への考え方を教えてください。

自然誕生という言葉は、バースハーモニーに来てから初めて知った言葉でした。
振り返ってみると、赤ちゃんとお母さんのタイミングで健康に生まれてくることが大事だと思っていました。お母さんのコンディションが良くないと、赤ちゃんも健康じゃなくなるという点ばっかり重視していました。
今も「自然誕生とは、どういうことなんだろう」と考えていたりもするんですけど、自然誕生に対する教科書的な解釈もしたいなって思っていて、自然誕生が普通に助産師の学ぶ教科書の中に入ってたらいいなって思います。
赤ちゃんの健康状態とかは見てるし、全く入ってないわけではないけど、もっと自然誕生がもう一つの分野として教科書に入ってもいいんじゃないかっていうぐらいの思いです。そう考えた時に自然誕生の生理的な変化が目に見える形で整理できてたらいいなと思います。
お産があって、その後子宮が収縮していく過程があって、何日目にこれぐらい収縮しているといいよねとかいうのを、日付ごとに照らし合わせる表とかがあるんですけど、そういう風な生理的な経過を医療職では頻繫に見ています。
例えば、産後のおっぱいの変化とかも、張りすぎてとか、暑くなりすぎちゃってとか、炎症が起きてるとかじゃなく、徐々に吸われる刺激と、オキシトシンで徐々に暖かくなって、おっぱいが出る乳管も少しずつ開いていってっていう変化がちゃんと見られてるかどうかは、やはり生理的変化が見られてるかどうかで判断したりします。
赤ちゃんが生まれてきてからいっぱい体重が減っていくっていう過程があって、それを生理的体重減少の範囲内での現象かどうかとか。
体が持ってる機能のまま変化してるというのを生理的変化と捉えていて、医療ではそういう風な見方をするからこそ、生理的に赤ちゃんが生まれる過程で本人の意思が乗っかって生まれてくるっていうのが、医療職の人たちにも自然誕生が伝わりやすくなるのかなと思ったりしますね。
もちろん、助産師の中だけの単語でもいいとは思うし、それをお母さんとか家族とかに伝えて、赤ちゃんの自然誕生ができたらいいと思うんですけど、やっぱりそこに関わってる人たちも同じ意思であることによって、望まれるケアができることになるのかなって思うから、教科書的な定義の方が大事かなっていう思います。

ママたちへ伝えたいことはありますか?

自分が妊娠するとか、出産が近づいているとなると、どうしても幸せっていう感情だけじゃなく、自分がどうなっちゃうんだろうとかで不安になったり、自分のお母さん像に自分がなれるかといった不安だったり、逆にそれに対する楽しみもあったり、色んな思いがある時期だと思います。
是非、幸せな面も辛い面も、両方大事にして、そしてその思いを自分だけが抱えてるんじゃなく、家族だったり、知人の人だったり、何なら電車の中で隣に座った人にでも、話してもらって、色んな人の考えに触れながら、自分をすごい大事にしてもらって、自分らしく輝けるのように、妊娠出産という過程を楽しんでほしいとささやかながら応援しています。
バースハーモニーという場所に来ることを、おばあちゃんちに遊びに来る感じで思ってくれればいいと思います。